「はじめに」より
本書は2009年11月から2011年3月末まで、日々の「MXニュース」(月曜から金曜、20:00―20:30)の中で、テレビコラム「角田光男の編集後記」と題して語った計317本の中から、180本を選び、大震災コメントを加え「春・夏・秋・冬」編に整理した。コラムは、地上波デジタル九チャンネルの電波に乗って、東京一円に発信された。そんなことからタイトルを『9ch テレビつれづれ帖 ―
NEWS 日々一言』と決めた。
1年半のテレビコラムを振り返って、忘れられないのは、やはり3月11日に起きた「東日本大震災」のことだ。戦争を知らない団塊世代の私にとって、初めて列島規模で体験した「非常時」だった。被災の主舞台は、私が四度、通算10年にわたって記者生活を送った東北各地だ。「自分はどう動いたのか」――『日々一言』とは別に、第一章を「温和な東北いずこへ」と題して発生直後から、東京に拠点を置くコメンテーターとして「自問自答」をしながら、現場を歩いてきた行動の記録を盛り込んだ。
発生前日の3月10日は、一晩で10万人が犠牲となった「東京大空襲」から66年目の「メモリアルデー」だった。前夜のコラムで「大空襲の夜を体感するため、これから下町の現場を歩いてきます」と語り、社を離れた。
地下鉄半蔵門線で押上に出て、スカイツリーの直下から隅田川にかかる言問橋まで、「風」「音」「臭い」「光」「闇」「空」「星」――何かを感じ取ろうと、全身の神経を集中させて、寒風の中を歩いた。66年前の惨状を思うと、身も心も冷え切った。私は闇の中に光る隅田川の川面を見つめ、供物や折り鶴が供えられた、言問橋の慰霊碑の前でひとり、平和を祈った。
10日早朝、もう一度、慰霊碑を訪ねた。「きょうはお花をあげようと思って来ました」というお年寄りに出会った。スカイツリーが、早春の日差しを受けて、慰霊碑越しに建ち上がっているのが見えた。隅田公園の桜のつぼみが、ほんの少し色づき始めていた。
翌3月11日、午後2時46分、大震災が起きた。
3月31日の「角田光男の編集後記」最終回で、私はこう語った。
震災発生から二十日、明日から4月のスタートです。被災地、東北の遅い春を思うと「光明るい四月が、来てほしい」という気持ちです。「3・10」「8・6」「8・9」「8・15」――。「私の忘れてはならない記念日」なんです。「東京大空襲」「ヒロシマ、ナガサキ原爆慰霊の日」「終戦の日」。悲しいことですが、新たに「3・11」を加えようと思います。東京が焼き尽くされた66年前の戦禍から、立ち直ったように、みちのくの「三陸の町」も「陸前浜街道の町も」、必ず復興すると、私は信じています。全国からの継続的な支援も、忘れてはならないことだと、思います。
2011年9月
角田 光男
もくじ
第一章 温和な東北いずこへ
第二章 NEWS『日々一言』 光明るい春を
平時ではない みんなで声を掛け合おう /正しい情報のキャッチ 落ち着いた行動 /
「お困りの方へ」街かどの親切 /原発不安 正確な情報の開示を /助け合いの輪を広げよう /
ボランティア出番 これから /被災地への燃料輸送に朗報 /鍼灸ボランティアが被災者ケア /
祭りに学ぶボランティアの心 /甲子園から復興のエール /好評です 災害一〇〇冊の本展 /
若い世代へ 平和へのバトン継承 /二度と戦災孤児つくらないで /
大空襲の夜を歩く 身も心も冷え切った /温和な春 いずこへ /頑張れ“だんだんサクラ”/
四月一日 パンダいよいよ公開 /下町の新しい風 スカイツリーから /
モノつくりの心 小さな発明家育てよう /ゆるキャラ集合 スカイツリー盛り上げよう /
女性パワーで三宅復興イベント /事故の教訓 安全対策に生かせ /被災地に光明るい四月を /
出会いの春はやって来る /王さんの記念館 福岡に /世田谷線のこども夢電車 /
東京野菜 健闘しています /さよなら 「新聞列車」/スカイツリー 芸者衆もお座敷勉強会 /
メードナツや果物キャラ 新アキバ土産 /新社会人へのエール /高校生諸君 自ら学べ /
横断旗は赤信号 /新宿御苑に江戸の上水を復元 /正直出頭 両さん許す /次世代カーの弱点 克服を /
ガス器具事故判決 悲しみ癒えず /島の逸品 竹芝に集合 /有権者の『見切り』が早すぎる /
夏が近づく 神輿がうねる /語りかける風景展 /メダルよりも大切なものがある /
ホームドアの安全対策を急げ /世界へ出番 都の水ビジネス /牛は家族 悔やみきれない畜産農家 /
お母さんの味方 エキナカ保育園
第三章 ホオズキ輝く夏
花と水辺 東京の川再生へ /よみがえった江戸前ビール麦 /飛び散る汗 風鈴つくりピーク /
大型店には負けない 板橋の逸品展 /世界に売り出すスミダブランド /一日数便 頑張れ下町貨物線 /
地域の伝統 祭りでつなぐ /浪花節だぜ はやぶさは /空気代はタダではない ICAP東京会議 /
エレベーター事故でメーカー提訴 /W杯国立競技場にファン大集合 /臨海大橋 京浜港湾を支える新動脈 /
昭和記念公園 /沖縄慰霊の日 『平和の礎』に思う /歓喜の雄たけび 広場であげたい /
タダは無策 高速無料化社会実験 /「お富士さん」江戸の伝統いまに /世界一の技術 町工場の誇り /
寅さん電車 故郷を走る /「和洋共演」朝顔市も新時代に /「スーパー端末」への期待 電子書籍元年 /
ホオズキ輝く 四万六千日 /老舗政党VS第三局の雄 激闘涙あり /平和への祈り 灯篭に託す /
調布市の「鬼太郎ナンバー」大人気/おもちゃ文化 世界に伝え半世紀 /新設のスポーツ振興局に期待 /
願わくば 北の真実語って /打ち水作戦で身も心も涼しく /フジヤマのトビウオ記念碑 /先生たちの落語研修 /「ラジオが聞きたい」 東京メトロにモノ申す/一〇〇歳超老人不明事件 /東京は蜜源の宝庫 /
平和への祈り 平山郁夫追悼展 /過ちに学べ 平和モニュメント起工式 /神宮のスポーツ文化財 大切に /
変わる江戸前の海 /みんなで守った森 緑陰イベント
/慰霊と供養の八月 /サル君に引かれて夏休み
/
子どもたちの視線 初めてのカメラ /吹き飛ばせ TX一兆円の負債 /関東大震災の絵画を初公開 /
復興小は地域の遺産 なぜ解体なのか /猛暑 祭りパワーで吹き飛ばせ /
第四章 ピンクリボン 秋風の訴え
町工場と大学の連携広げよう /マレーシア水道事業 支援 /超高齢者 社会で見守ろう /
三越新館公開 銀座デパート戦争 /声なき声に耳傾けよ /神田川で水遊び 下水道の日の課題
/
目指せサイクルシティー /「Xサインなし」民主代表選終わる /「嵐に向かって進め」菅・日本丸 /
「秋祭りの味」忘れられない多摩川梨 /焦りは禁物 人も車も無事故で /返上したい『暑さの三冠王』/
紅は『闘魂』 白は『忍耐』 牧野邸の彼岸花 /エコ社会 三Rでごみ減量 /
伸びやかな造形 心揺さぶる作品展 /『ピンクリボン』秋風の訴え /「むやみに動くな」 震災帰宅訓練 /
恋愛理論でノーベル化学賞 /汗の輝き 環境保全キャンドル /あと一三八日 鍛え本番で完走―― /
ツリー散歩で江戸名所探訪 /日米友好 桜に歴史あり /伝統野菜 江戸前ブランドに /
「手帳はいのち」最強の携帯ツール /アニメ支える若手支援を /「来年、一〇〇歳」日本橋に青空を /
世界の王さん 文化功労賞 /今も学生たちにエール 神保町 /銀座の祝祭空間に 新生歌舞伎座 /
多様な樹種「神宮の森」生む /メールに負けるな 年賀はがき発売 /台湾水ビジネス 先人の偉業に学べ /
心明るく 酉の市 /「最期の芳香」大クスノキ伐採 /都市交流一〇年 助け合いの絆 /
カリンたわわに 赤羽の秋 /芸術の秋 巨匠パワーに触れたい /イトカワ微粒子 宇宙からの宝物 /
知っていますか?きょう土木の日 /下町の見識が息づく 一葉記念館 /
羽沢ガーデンの緑守れ 裁判官が現場へ /三島事件四〇年 遺書が問うもの /あしたのジョーは町の宝だ /
イチョウは戦後復興のシンボル /表参道も点灯 原宿の自負どこへ /
第五章 『芝浜』夢の冬
「元気の源」探す師走 /津軽もねぶたも近くなる /暴力からは何も生まれない /
全国結ぶ「道の絆」日本橋が化粧直し /社会鍋 街角の善意集めて一〇二年 /
戦死者の遺骨 一刻も早い収集を /平常心で年の瀬の準備を /手足伸ばせば… 頑張れ銭湯 /
不況を跳ね飛ばせ 羽子板市 /街を明るく ガード下の大壁画 /心温まる 冬至ゆず湯 /
寺&ツリー 下町観光ゾーンの整備を /心込め しめ縄奉納四〇年 /「芝浜に学ぶ」夢の実現 辛抱から /
「初地蔵」のにぎわい 民の声に耳傾けよ /『初競り』上げ潮 景気は気から /はとバス 東京観光身近に /
都の交通政策「二つのヒット」/がんばれ受験生 あすセンター試験 /阪神淡路大地震から一六年 /
春闘 多様な声を吸い上げよ /復興の三宅 島をもっと知ろう /「門前町の不文律」大事に /
秋葉原事件で「死刑求刑」/スイセンの黄色「春待ち色」/荒川放水路 世紀の治水事業に学ぶ /
二月「光の春」スタート /八百長相撲 出直せ /「経営統合」時間をかけた議論を
/「立春大吉」春よ来い /
冒頭陳述から火花 /元気です B級グルメ/春食材で冬将軍を吹き飛ばせ /「桜土手」つくった河津の先人/
「平成の風」江戸を走る /「パンダ番記者」の思い出 /青梅路に二万人 市民マラソンの草分け /
日中環境外交の使者に /「天気晴朗」なれど富士見えず /「天に祈る」不明者の救出 /
ランナーに“カツ” 声援で参加 /松葉つえのしんがり走者
第六章 NEWS「日々一言」317話 全リスト
(2009年11月〜2011年3月)
第七章 「新年の決意」20年
「身体のヘドロ、一掃を」/寒中見舞い「奉仕と感謝の生涯」(実母死去のあいさつ)/
「福祉の春風、下町から」/「生きのいいニュースをいきに」/
寒中見舞い「クレヨン職人の遺言」(実父死去のあいさつ)/「お大師さんの五風十雨」/
「みちのくの至言」/「祭り心を忘れない」/「平和の礎からスタート」/「幕末の先達」/
「深川でワッショイ」/「汽笛一声、汐留へ」/「諏訪御柱、まつり年」/「人生はスイッチバック」/
「山を開いた人に学ぶ」/「お化け煙突と放水路」/「還暦、初年兵に戻る」/
「9ch、江戸・意気・NO.1目指す」/「元気の源、諏訪御柱祭」/「忘れ得ぬ車窓 青森ヒバ防雪林」
あとがき
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